食べた栄養素は身体の中でどうなる?~ビタミンD編~
食育
2023.01.06
私たちは日々の食事でエネルギーや栄養素を摂取し、生命を維持し、身体活動を行っています。今回は、健康な骨をつくるのに不可欠な「ビタミンD」についてのお話です。
目次
【ビタミンDってどんな栄養素?】
ビタミンDは、カルシウムの吸収を高め、骨の成長を促進するほか、血中カルシウム濃度を調節する働きがあり、健康な骨を維持するために欠かせない栄養素です。食事からだけでなく、日光を浴びることで私たちの体内でもつくり出すことができるという特徴があります。しかし、高齢になるにつれ体内での生成が難しくなるので、食事からとることが重要になっていきます。
【ビタミンDが不足・過剰摂取すると、体にどんな変化が起こるの?】
ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収率低下や骨代謝異常を引き起こし、骨が軟化して細く・もろくなる病気を発症する恐れがあります。この病気は、小児の場合は「くる病」成人の場合は「骨軟化症」と呼ばれています。特に高齢者は加齢による吸収不良や腎臓の機能低下などにより骨粗しょう症につながるので注意が必要です。
過剰摂取になることはあまりありませんが、サプリメントなどを飲んでいる場合には摂り過ぎに注意しましょう。食欲不振、嘔吐、多尿や口の渇き、ひどい場合は昏睡状態やけいれんなどを発症する恐れがあります。
【紫外線、適度に浴びていますか?】
ビタミンDを体内で生成するためには、日光浴が必要です。過度な紫外線の照射は炎症や皮膚がんの原因になることや、熱中症などの体への影響を防ぐために、過度なUV対策になっている傾向があります。しかし、現在はビタミンD不足による健康への影響が心配され、適度な日光浴が推奨されています。
適度というのは夏では15~30分程度で、1日に必要なビタミンDが生成されるといわれています。冬では日照時間が短くなることや地域差があるため、夏よりも長い時間が必要になります。肌を全て覆った状態ですと効果はなく、手の甲など、肌が日光を浴びることができるようにすることも大切です。
高齢者のフレイル(虚弱)予防はもちろん、全世代を通じて日常生活で可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けていきましょう。
【自分に必要な量のビタミンDを摂ろう!】
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」は、年齢と性別に応じて日本人の1日に必要なエネルギーや栄養素量を示した基準です。
2020年版では、18歳以上の男女ともに8.5㎍が1日の目標量です。
0歳児であれば5.0㎍、1~2歳は男の子が3.0㎍、女の子が3.5㎍が1日の目標量です。(3~5歳児は男の子が3.5㎍、女の子は4.0㎍)
【どんな食べ物に多く含まれているの?】
ビタミンDは、以下の食品に多く含まれています。
・紅鮭(1切れ80g)→25.6㎍
・イワシ丸干し(1尾30g)→15.0㎍
・しらす干し(大さじ1/5g)→3.0㎍
・干ししいたけ(1個3g)→0.4㎍
・鶏卵(1個50g)→1.0㎍
魚やきのこ類に多い一方で、野菜や穀類、豆類、肉類などにはほとんど含まれていません。ビタミンDは脂溶性なので、脂質を含む動物性食品(魚介類や卵黄)のほうが効率よく摂取できます。きのこ類は、炒め物や揚げ物にして油と一緒にとると吸収が高まります。
1日に必要な8.5㎍を食事からとろうと思うと、きのこ類や卵を食べただけでは満たすことができないので、魚を意識して取り入れるようにしていきましょう。
【簡単!鮭ときのこの炊き込みご飯】
ビタミンDを多く含む鮭ときのこを使った、炊き込みご飯をご紹介します。
〈材料〉 4人分
・米…2合(水は、炊飯器の2合の目盛りに合わせて浸水させる)
・醤油…大さじ2
・料理酒…大さじ2
・みりん…大さじ2(あれば、昆布…5cm角のもの1枚)
・生鮭…1切れ(80g~100g)
・料理酒…大さじ1程度 ※鮭の臭みをとるために使用
・塩…小さじ1/2
・干ししいたけ…10g(2枚)
・しめじ…30g(1/3袋)
・えのき…25g(1/4袋)
・万能ねぎ…お好みで
<作り方>
①米をとぎ、30分以上浸水しておく。
②鮭は骨をとり、料理酒、塩をふって15分程おく。その後、キッチンペーパーで水気をふく。
③干ししいたけは水で戻し、それぞれ食べやすい大きさに切ったりほぐしたりしておく。
④浸水している米から、水を大さじ6減らし、醤油・料理酒・みりんを入れて混ぜる。
⑤あれば昆布、鮭、きのこの順にご飯の上にのせ、炊飯する。
⑥炊き上がったら鮭の皮をとり、全体を混ぜ合わせて完成。
※万能ねぎはお好みで、ちらしてください。
〈ポイント〉
・このレシピ全体でビタミンDが27.8㎍含まれ、大人のご飯茶碗1杯分に換算すると6.9㎍(これは1日にとりたいビタミンD目標量の約8割)になります。
・きのこはお好みに合わせて種類の変更も可能です。しいたけも生にするとビタミンDの量は少し減りますが、生しいたけならでは風味も楽しめます。アレンジしてお試しください。
【まとめ】
体にとって不足しがちなビタミンDは、成長期の子どもたちにとっても大事な栄養です。コロナ禍に加え、寒い日が続いていますが、お家にこもるのではなく、太陽の光を浴びる時間を生活の中に取り入れましょう。冬の晴れた空は鮮やかな空色がまぶしく、太陽の光で気持ちも明るくなれることでしょう。太陽の光と食事の力で、元気な体を作っていきましょう!
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