日本の読解力が低下した理由|家庭内でできる対策や国・教育機関ができること
教育(小学生)
2021.09.05
目次
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PISA調査から見た読解力低下の要因は、デジタル読解力不足と言えるでしょう。
以前から問題視されていた、文章を正しく読む力が低くなっていることに加え、インターネット上での大量かつ質に差のある情報を評価・熟考する力が低いからです。
PCやインターネットを使った授業をやってきていない
PISA調査から見る要因の1つとして挙げられるのが、子供たちがPCを使ったテスト方式に不馴れだったことです。
紙の問題用紙とは異なり、次の問題に進むと前の問題には戻れない設計になっているため、解答の見直しや問題用紙全体の問題把握などができなかったことへの戸惑いや、さまざまな様式のデジタルテキストへの対処が難しかったようです。
日本はOECD加盟国の中でも、授業でのPC活用頻度が低いのが現状です。
文部科学省は、PCやインターネットを使った授業を十分にやってきていないことも問題であるとし、PCを活用した指導をこれからの課題としています。
スマホを持っていても娯楽や趣味で使っていることが多い
スマートフォンやPCなどのデジタル機器を持っていても、SNSやチャット・ゲーム等趣味で使っている子供たちがほとんどです。
逆に、デジタル機器を使って宿題をしたり、勉強のための調べものに活用できている子供はほとんどいませんでした。
これも学校でデジタル機器を活用した授業が行われていないことが要因と言えるでしょう。
読解力の低下を防止するために家庭内でできること
読解力の低下を防止するために、家庭内でできることはなんでしょうか。
言葉の発達に大切なのは、まわりの大人とのコミュニケーションです。家庭内で、保護者が関わり方を工夫したり、言葉の吸収を促してあげることで、子供たちの読解力低下を防ぐことができるでしょう。
本を読ませるときは語彙と機能語の使い方を身に付けさせる
本を読ませるときは、語彙と機能語の使い方が身につくよう、保護者の方が意識させてあげましょう。
子供たちの発達や性格に合わせて助言や誘導をしてあげると、続けやすく身につきやすいです。子供たちが分らない言葉や概念が出てきたら、説明だけでなく関連知識や、同義語・対義語を補足してあげると、語彙が豊かになっていきます。
また、「主語」「述語」「修飾語」「接続語」など、文章の構成を一緒に確かめながら、お話の原因・理由を掘り下げていくことで、機能語の使い方が身につきやすくなるでしょう。
子供が育つ言語環境の激変に気づく
今の子供たちを取り巻く言語環境は、保護者世代とは全く異なっています。
大人との日常的な会話が減っていることもそうですが、家庭で知識を広げるきっかけ自体が減ってきていると言えるでしょう。
たとえば、壁掛けのカレンダーや時計、本や新聞などの多くがデジタル化され、全てスマートフォン1つでまかなえるようになってしまったため、置いていない家庭が多いです。
保護者世代が言葉に興味を持つきっかけとなっていたものの多くが、大人たちのスマートフォンの中に収納されてしまうことで、今の子供たちは「きっかけ」を目にすることなく育っていきます。
子供たちは自分の言語環境が、保護者の育ってきた環境と違うことを知りません。こうした言語環境の変化に保護者が気づくことができると、子供たちの語彙力・読解力の向上につながっていくでしょう。
読解力向上のために国や教育機関が行うべき対策3つ
PISA調査の読解力問題で低得点層の子供たちが増えてしまったことや、ICTを活用した学習の遅れなどが明らかになり、必要な対策が見えてきました。
ICTの活用は、デジタル・グローバル化した社会に応じた読解力を身につけるために必要不可欠です。ICT教育後進国の日本は、ICTを活用した教育を受けられる環境整備に力を入れることで、読解力の向上を目指していけるでしょう。
1:社会の変化や進展に応じた読解力も身に付ける
読解力とは、小説の主人公の心情を読み取ったり、筆者の思いを推察する理解力だけではありません。インターネットを駆使して必要な情報を見つけ出す力や、それらを自分で評価し、矛盾があったときに対処する力も読解力です。
それこそが社会の変化や進展に応じた読解力であり、今の日本が不得意とするものです。国語の問題集を解いていくだけでは習得できないもので、実生活や他の全ての教科とも関連してきます。
社会の変化や進展に応じた読解力を身につけるためには、詰め込み教育の改善とICT(情報通信技術)の活用が重要になるでしょう。
2:GIGAスクール構想の推進
GIGAスクール構想とは、生徒1人に1台のデジタル端末と高速通信やクラウドを活用した授業を行い、個人に合わせた、よりグローバルな教育を目指していくものです。
文部科学省は、社会全体でICTの活用が日常的なものとなっているのに対し、子供たちが学ぶ場所であるはずの学校だけが取り残されていることを問題視し、GIGAスクール構想の促進に力を入れています。
このGIGAスクール構想が推進されていくことで、子供たちは自分に合った教材を自分のペースで進められるようになるほか、教師と生徒・生徒同士がリアルタイムでコミュニケーションをとりながら学習を進めていくことができるようになるでしょう。
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