今が旬!「山芋」 ~山芋について知ろう~
食育
2023.01.06

生でも食べられる山芋は、そのままだとシャキシャキ、加熱するとホクホクとさまざまな食感が楽しめます。今回は山芋の種類や嬉しい効能についてご紹介します。
目次
【山芋の種類】
山芋は、「ヤマノイモ科」に属する芋類の総称で、世界には600種以上あるといわれています。日本では、スーパーなどでよく見かける長芋のほか、大和芋やつくね芋、自然薯(じねんじょ)などが流通しています。貯蔵することが出来るので1年中出回っていますが、本来の旬は11~1月頃の寒い時期です。
自然薯
自然薯は「ヤマノイモ」の別名で、日本原産の野生種です。山菜の王者とも呼ばれ、滋養強壮をはじめ疲労回復や食欲増進、免疫力を高めるなどの優れた効果が期待できます。
長さは60㎝~1mほどで、細長く成長します。天然物は粘りがとても強く、コクやうま味をしっかり感じられます。
しかし収穫までに3~4年かかること、まっすぐ育っていないために掘り出すのが難しいことなどから、天然物がスーパーに出回ることはほとんどありません。
長芋
直径5㎝程度の棒状の山芋で、長いものは1mにもなります。
ほかの山芋に比べると水分が多く、粘りが少ないため、細切りにしてサラダや和え物でも楽しめます。
大和芋(いちょう芋)
扁平な形をしていて、それがいちょうの葉に似ていることから関東では大和芋を「いちょう芋」とも呼びます。ただ、最近では棒状のものが好まれる傾向にあり、長芋のような見た目の大和芋も売られています。粘り気が強く、濃厚な味わいが特徴で、すりおろしてとろろにするのに向いています。
※奈良県産の大和いもは別品種で「大和野菜」として伝統野菜のひとつに認定されています。
つくね芋
ゴツゴツしていて、にぎりこぶしのような形をした山芋です。
山芋のなかで最も粘り気が強く、和菓子の原料や、かまぼこなどの練り物のつなぎなどにも使われています。
【なぜ、山芋は生で食べられるの?】
じゃが芋やさつま芋などの芋類は、基本的に生食することができません。
しかし「山芋」は生で食べられる世界でも珍しい芋です。その理由は、山芋に多く含まれるでんぷん分解酵素の「アミラーゼ」にあります。
「アミラーゼ」の働きはでんぷんを分解することです。でんぷんは加熱せずに食べると消化吸収が悪く、下痢などを引き起こす可能性がありますが、山芋は「アミラーゼ」を多く含み、山芋のでんぷん消化が促されるため、生でおいしく食べることができるのです。
【手や口が痒くなるのはどうして?】
山芋の皮を剥いたときやすりおろしたとき、食べたときに、手や口元に山芋がついて痒くなることはありませんか?これは山芋の皮の近くに含まれる「シュウ酸カルシウム」によるものです。シュウ酸カルシウムは針状の尖った結晶の形をしており、皮膚に刺さることで痒く感じますが、酸に弱いという特徴があり、酢水やレモン水で洗い流すと痒みが緩和されるようです。
※山芋はアレルギーの原因食材の一つであり、特定原材料(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)に準ずるものとして食品への表示が推奨されています。発症数は多くありませんが、のどが痒い・イガイガするなど体に異変を感じ、症状が緩和されないようであれば病院に行くことをおすすめします。乳幼児では症状が出やすい場合があるので、取り扱う際には特に注意が必要です。
【おいしい山芋の見分け方】
今回はスーパーで購入することができる「長芋」のおいしい見分け方をご紹介します。
長芋は太さが均一で真っすぐなものが良品とされています。ずっしりと重みがあり、皮がきれいなもの、カットされているものは切り口がみずみずしく、変色していないものを選びましょう。
【山芋の保存法】
保存するときは、まるごとであれば新聞紙やペーパータオルなどで包み、25℃以下であれば常温で保存できます。カットしたものは、空気に触れないようにしっかりラップで包んでから冷蔵庫で保存し、数日で使い切るようにしてください。
食べきれない場合には、すりおろしてからジッパー付きの保存袋に入れ、しっかりと空気を抜いて冷凍保存するとお好み焼きなどのつなぎとして使うことができます。解凍後は必ず加熱してください。
【山芋の栄養】
山芋はどの種類も栄養価に大きな違いはありません。
でんぷんが主成分ですが、そのほかにカリウムやマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群、ビタミンCなども含まれています。
カリウムは余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみの予防・改善に、マグネシウムは骨や歯の形成に役立ちます。
さらに、アミノ酸の一種である「アルギニン」も含まれ、筋肉の強化や免疫力アップに効果が期待できます。また、消化酵素である「アミラーゼ」は体内の消化吸収のサポートもしてくれるので、胃もたれなどを防ぎます。この酵素は熱に弱いので効果を期待するのであれば、生で食べるのがおすすめです。
【色んな調理法で楽しもう】
山芋は切り方や調理法で、ネバネバ・ふわふわ・ホクホク・シャキシャキといった食感が楽しめます♪
『ネバネバ』を楽しみたいとき
→すりおろして“とろろ”にする
『ふわふわ』を楽しみたいとき
→すりおろして、卵などと混ぜ合わせて焼く・揚げる
『ホクホク』を楽しみたいとき
→繊維を断つように輪切りにし、煮る・焼く・揚げる
『シャキシャキ』を楽しみたいとき
→繊維に沿って細切りにする
ひとつの食材で、こんなにも食感が変わるのは面白いですよね!
皆さんもぜひお試しください。
【まとめ】
生で食べることができ、ほかの芋類では味わえないさまざまな食感が楽しめる山芋。
寒い冬を乗り切るための栄養も豊富です。旬を迎えた今のおいしさをお好みの調理法で味わいつくしましょう。
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