磁石を砕くと磁力はどうなるの？中学生におすすめの実験方法について解説

「磁石にはN極とS極があるけれど、割れたらどうなるの？」
「細かく砕いても、磁力はそのまま？」
「割れた磁石はかけら同士でくっつくの？」
生活のさまざまなところで使われている磁石ですが、もし割れてしまったら、磁力はどうなるのでしょうか。

この記事では、実際に身近で使われている磁石を砕き、磁力が維持できるのか、磁力の向きはどうなるのか実験してまとめています。

この記事を読むことで、磁石を割る実験方法が詳しくわかり、磁石が割れたときの磁力の変化などを知ることができるでしょう。家庭にあるものや、100均・ホームセンターなどで手に入りやすい道具で実験しているため、家庭での実験にもおすすめです。

磁石の性質を学び、自由研究や自主学習に取り入れたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

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砕いた磁石の磁力はどうなる？

磁石には大小や形状にかかわらず、S極とN極があり、同じ極は反発し、違う極は引き付けあう特徴があります。

磁力を使う道具のひとつに方位磁石がありますが、これは磁石のN極が北を、S極が南を向く性質を利用して方角を調べるための道具です。地球は大きな磁石であり、地球の磁力線が方位磁石に働きかけることによって、このような動きをするといわれています。

では、磁石を砕いて小さくしていくと、S極とN極の磁力の向きや強さは、どのように変化するのでしょうか。実際に磁石を砕いて、磁力の実験をしていきましょう。

砕く磁石は、100均でも販売されているマグネットの黒い磁石部分で、磁石本体のみで販売されているものもあります。磁石を割る際には金づちでケガをしないよう、軍手をつけて作業してください。

また、磁力をみる実験では、磁力の強い磁石の方が実験結果がわかりやすいため、強力なネオジム磁石があると便利です。

まずは砕く前の磁石にクリップを近づけ、磁力の強さを調べておきましょう。

磁石をビニール袋に入れタオルで挟み、金属製の板の上で金づちで叩いて砕きます。砕いた磁石にS極・N極の磁力の向きがあるか、棒磁石を近づけてS極に青のシール、N極に赤のシールを貼ってみましょう。そのほか、磁石の破片にクリップを近づけ、磁力の強さの変化を調べます。

さらに細かく磁石を砕き、プラスチック容器に入れて軽く振り、容器越しにクリップに近づけて磁力があるか確認します。

最後に、細かく砕いた磁石に、割っていない磁石を容器越しにこすりつけ、クリップに近づけて磁力の変化を調べてみましょう。

砕けた磁石のかけらにもクリップが引き寄せられ、棒磁石も反応することから、あらたにS極とN極の磁力の流れができることがわかります。ただし、小さなかけらになるほどクリップはつきにくくなり、磁力は弱くなるという結果が出ました。

また、さらに細かく砕いた磁石をプラスチックの容器越しにクリップに近づけてみても、クリップは引き寄せられません。この砕けた磁石のかけらの集まりに、大きな磁石を容器越しに近づけてこすりつけ、クリップに近づけると引き寄せられています。

このことから、磁石は砕けて小さいものが集まると、磁力の流れがバラバラになってしまい、クリップを引き寄せられないことや、強い磁力を近づけることで砕けた磁石の磁力の方向がそろい、ふたたびクリップを引き寄せる磁力を生み出すことがわかります。

この実験では、磁石はどれだけ小さくしてもS極とN極の磁力の流れを持っていることや、小さな磁石の集まりは磁力の方向をそろえてやることで、強い磁力を発するということがわかりました。

磁石は原子自体が磁石となっており、私たちがよく知る磁石は、この原子がS極とN極の方向をそろえて集まっているものといわれています。

鉄の中にもこの原子がありますが、バラバラの方向を向いているため磁石にはなっていません。磁石をくっつけると鉄原子の磁石が同じ方向に磁極を向けるため、磁石についたクリップがクリップを引き寄せる、といった現象がみられるのです。